【7月11日イベントレポート】【前編】地域経済の活性化に向けたクリエイティブの役割:企業支援の新たな視点

2025年7月11日に大分県が主催する「OITA CREATIVE CROSSING 2025」の支援機関・クリエイター向けのセミナーを、別府市中央公民館で開催しました。本事業は、支援機関が中核となり、県内中小企業とクリエイターが連携することで、既存の商品やサービスに新たな付加価値を付与することを目指すものです。本レポートの前編では、セミナーの一部として行われた事例紹介と、地域におけるクリエイティブの定義について報告します。

1. 本事業における「クリエイティブ」の定義
本事業では「クリエイティブ」を単なる広告制作やデザインを指すのではなく、「新しい価値や意味を生み出す姿勢や行動」を指し、ビジネスで地域の資源を「再発見」し、伝わる形に「翻訳」し、「意味づけ」を行う力を重視しています。
地域や企業が保有する文化、歴史、食などの資源を、中にいる当事者だけでは気づきにくい視点で捉え直し、社会に伝わる価値へと変換するために、クリエイターを「共に価値をつくるパートナー」として位置づけています。
2. 環境整備がもたらす組織の変化
第一部のセミナーでは、県内企業の事例として、
イノベーションを生むオフィス:柳井電機工業の挑戦 をテーマに、
柳井電機工業株式会社の加藤氏と株式会社green circleの神鳥氏による、オフィスの刷新が紹介されました。働く環境を整えることが、結果として社内のコミュニケーションや生産性の向上、さらに人事面にも寄与することが示されました。

参加者からは、空間の変化が企業文化の変容を促すプロセスや、その効果をエビデンスとして示すことの重要性に関心が寄せられました。この事例は、クリエイティブな視点をハード面に取り入れることが、経営課題の解決に結びつく一つの形として提示されました。

3. 商品のリブランディングによる経営改善
第二部では、広島県神辺町商工会の藤本貴史氏が登壇し、地域の小規模事業者に対する支援事例について講演いただきました。藤本氏は、令和5年度に開催された商工会経営支援事例発表大会(全国大会)では、最優秀賞を受賞され、「日本一の経営指導員」とも呼ばれています。

紹介された事例の一つは、地域の雇用を支える食品製造業者のケースです。当時、主力事業の需要減少に直面していた同社に対し、既存の調味料のリブランディングが提案されました。 支援の要点は以下の通りです。
- 価値の再定義:従来から販売されていた商品のネーミング、コンセプト、ターゲット層を、市場のニーズに合わせて全面的に見直しました。
- 収益構造の適正化:原価計算に基づき、卸値や販売価格、容量を再設定することで、持続可能な利益率を確保しました。
- 広報戦略の活用:広告費を抑えつつ、メディアへの情報提供(パブリシティ)を積極的に行うことで、広範囲な周知を実現しました。
この取り組みにより、年間売上が激増し、収益の柱として確立されました。特筆すべきは、このプロセスを通じて後継者の経営意識が変化し、自発的な事業展開を行うようになったという定性的な成果です。

前編では、クリエイティブな視点を活用したリブランディングと、それが経営者の意識に与える影響について概観しました。後編では、参加者によるワークショップの内容について報告します。
